曽谷朱音(そだに あかね)/鋳金

兵庫県三田市生まれ

2020   金沢美術工芸大学 工芸科卒業

金沢美術工芸大学 修士課程工芸専攻 在学中

《賞歴》

日本ジュエリー展 under26部門入選

 

作品名:Libyan desert glass

技法:真土型鋳造(まねがた)

素材:ブロンズ・高錫青銅・丹銅・アルミ・釉薬

 

《作品について》

アフリカ中北部・リビア砂漠に混在するガラス質の砂から発想が生まれたこの作品は、鋳造の 際に釉薬を添加する事で、金属とガラスが混ざり合い、通常の鋳物では得ることのできない気泡 や色の変化を得ています。この複合は私のコントロールできない領域であり、1200度を超える危険な溶解作業の中で、私 はこの物質に命を掴まれつつもどうすることもできない無力感に陥ります。この危うい関係の中 に、私は自分と自然との関係性を当てはめているのかもしれません。

六甲の山々に囲まれ生まれ育った私にとって、自然はただ美しいものではなく、時に恐ろし く、どうすることもできないものでもありました。意図せず生まれる釉薬の表現は、私たちが自 然の中に見出す偶然の美に類似しています。そこには同時に、人間にはどうすることもできないよ うな大きな力とそれによる厳しさが表れているのではないでしょうか。