2019年8月

🔹作家様の制作コンセプト/ 鵜飼康平

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鵜飼康平(漆)  《融  17-05》

素材/楠・漆

・漆という素材を扱いながら、人の手と素材のやり取りの中で偶発的に生まれていく、力強い造形や予期しきれない自然の現象に着目している。
立体作品では、樹液である漆と、木との関係性に着目し、それ単体では形をもたない漆が木を包みこみ形態となるイメージで制作した。
平面作品では「変塗り」(かわりぬり)と呼ばれる技法を用いて、行為の積み重ねと自然の現象に着目し、制作した。
マーブリングのように水面に漆を浮かべ転写することで自然の表情を写し取った。

🔹作家様の制作コンセプト/ 和田真以子

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和田真以子(彫金)  《珠の花-b》

素材/洋白・ガラス・蛍石

・制作のきっかけは、草花の繊細さや造形の面白さを自身の中で昇華して、オブジェを制作しようと思ったからです。

テーマは「蒐集」。

金属板を打ち出し成型し、切り抜いて組み立てています。一枚の薄い金属板を細かく加工しているのが特徴です。

 

🔹作家様の制作コンセプト/ 織田隼生

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織田隼生(金工)   《A quale 》

素材/鉄

鉄だからこそできる花の新しい表現を探求しています。

主に使用している技法は鍛金という技法で、簡単に言うと金属を叩いて加工することです。

シンプルな技法ですが、奥が深く、金槌の種類や叩き方を工夫すると金属を柔らかく見せることが出来ます。

花や植物は、幾何学的な法則に基づいた構造体だと考えています。

鍛金をベースとした繊細な表現を用いて、そのような構造体を制作しています。

花だけど花じゃないような、何か不思議な印象を抱くような造形を目指しています。

🔹作家様の制作コンセプト / 宮永春香

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宮永春香(陶磁)   作品《FEITICO》

素材/磁土

FEITICOは編み物により制作した陶磁器の作品です。

編み物をやきものに置き換えるという作品制作に取り組む中で、 編むという行為に、 どこか祈りに通じるものを感じています。

木や布、 そして金属でさえもやがては時間を経ると朽ちていきます。

編み物がやきものとなったとき、 編む行為、 つまり祈りそのものが永遠性を獲得しているともいえるかもしれません。

 

 

🔹『しろ[素]きかたち』展、展覧会コンセプト

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「素」:しろぎぬ。白い。染色していない。 ありのまま。飾り気のない。もってうまれたまま…。

もって生まれたままの素材をそのまま活かすことを私達は尊んできました。木は木らしく。鉄は鉄らしく。織りは織りらしく。素材にはそれぞれの素材の特徴・個性があり、したがってその素材から生まれる「かたち」も、高い蓋然性を持って自ずと決定されていくとされています。

しかし、もしその素材がそれぞれの個性の限界を超えるなら、「かたち」はそれまでの造形の有様を維持することをするでしょうか。素材を活かすこととは同時に素材の形に限界を設けてしまいます。けれど、人は美のかたちに限界を設けることを好みません。より美しいかたちを求める美への要求は、ついには素材の限界を乗り超え、全く新しい性格を身に纏ったしろ(素)き素材そのものを作りだし、作者は素材を全く新しい造形に昇華させていくことでしょう。超絶なる技と、熱き情熱と、作品と対峙するたゆまない美意識を持って。

『しろ(素)きかたち』展は、その素材と対峙し、素材に極限までこだわり、素材に秘められた内なる輝きを発見し、素材の無限の可能性を引き出して、素材の限界を超えることでしか生まれない新しいアート(造形)に挑戦している若き芸術家たちの共同展です。

温柔な織物のような陶器。土塊のような硝子。波紋を持つ青銅。段通のように刺繍された鍛金。昆虫の羽を持つ夜光貝。花の痩躯を持つ錆鉄。ただひたすらに青き有機躯体の吹きガラス…等々。それと対峙したものは皆、はじめての造形と素材の振舞に驚きと感動を覚えること間違いなし。是非とも実物を見て、限界を超えた素材が織りなす驚きの芸術作品群を体験してほしいと思うのです。

Gallery Land’sEnd 坂本直義

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