アンドレイ・ヴェルホフツェフ

アンドレイはロシアで生まれた。ロシアの美術学校で絵画を学んだ。ロシアは西洋の伝統的芸術の有様が最も色濃くある国であるので、アンドレイの描く油絵も西洋の古典的美しさに溢れている。そして彼も自分の絵画のモチーフにシュールレアリスムを選んでいる。今回は、彼は写真での展示であるが、シュールな雰囲気は健在だ。

写真は白黒の人物写真。モデルは妊婦の裸体。自分自身も妊婦のように化粧して被写体となっている。裸体の写真は珍しくは無いが、妊婦のみとなると話は別だ。写真は「BODY」と銘打たれているので、肉体の肉体的形象の描画を写真のテーマに選んでいるといえよう。被写体は美しい。ギリシャ彫刻のような古典的彫塑の美しさを醸し出している。でありながら、どうしてシュールな雰囲気が出ているのか。それは被写体が妊婦であるからに他ならない。妊婦は必然的に形象が非日常であり、肉体が大きく歪む。母性がデフォルメされる。そこに普段にはありえない肉体の美しさが生まれているのだ。